村山由佳。

天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)

天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)

此間、読み終わった星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)がとても良く出来た作品だったので、ベストセラーである【天使の卵】を数年前に購入したにも拘らず、積読状態になっていたので、久しぶりに引っ張り出して読む事にした。何度も読みかけては放置して、また読み直し・・・の状態に陥っていたので、今回の勢いに任せて一気に読もうと決めていた。そうしたら、とても読み易かった。

この作品は本当に恋愛小説を書き上げる事に徹している作品で、本当にベタで、まるで韓国映画のようなものなのだけど、この作品を読んだ事によって、【星々の舟】を書き上げた村山由佳は確実に作家として物凄く成長しているという事が素人目の私にも解り易い作品であった。


ここからは作品の内容にダイレクトに触れていくが、何て言うか、作品だという事は解り切っているのだけど、自分の彼女の姉を好きになったので、彼女を振って、その姉にのめり込んで行くという何ともやるせない内容。姉の方も妹には悪いとは思いつつ、ちゃんとした対応を取らないで、最後は流産と医者の医療ミスによって死んでしまうという。何か最後の方にかけては、物凄い展開の速さで、うーんとは思ったけど。兎に角、19歳の主人公が自分勝手だな。若いとはそういう事なのか。死んだ彼女も27歳でその対応とは、27歳って案外未だ子供なんだな。